周年イベントの提案で「今年は映像に予算をかけたくない」と言われたこと、あるはず。でも本当の勝負は初回の受注額じゃない。来年、再来年にどう伸びるかの方が案件としての価値は大きい。今回は、最初の予算が小さくても次につながる提案の組み立て方を実務レベルで書く。
周年イベントの映像提案が「初回で終わる」理由
周年イベントの映像提案がうまくいかないとき、原因は大体決まってる。クライアントが映像の効果を体験したことがないまま、いきなりフルスペックの提案をしてしまうケースだ。
10周年記念でオープニングムービーを30万円で提案したとする。クライアント担当者は「効果があるのは分かるが、今年は様子見で」と返してくる。これは担当者が悪いわけじゃない。映像を入れたことがない企業ほど「うちには必要ない」と思っている。使ったことがないから、価値の実感がまだないだけなんだと僕は思ってる。
ここで提案を諦めるか、粘るかで翌年の展開が変わる。イベント会社の担当者としては、ここで無理にフルスペックを押し込まない方がいい。まず”体験してもらう”ことを目的にした提案に切り替える。

初回提案を5万円に落とす設計術
何を削り、何を残すか
初回提案で予算を抑えるとき、大事なのは「何を削っても成立するか」の見極めだ。周年イベントのオープニングムービーは、静止画ベースの構成でも十分に会場の空気を変えられる。動画素材をふんだんに使ったハイクオリティな映像でなくても、企業ロゴ・沿革の年表・社員の集合写真・代表メッセージのテロップを組み合わせるだけで、暗転→開始の瞬間の緊張感は作れる。
僕らが提供しているテンプレート型のOPムービーパッケージは、まさにこの発想で組んである。1本5万円。月額じゃなく単発の金額だ。テンプレート(型)と仕様書をセットにして、発注側はフォームに入力するだけで完成イメージがその場で固まる。編集者がそのフォーム内容に沿って組み立てる。毎回ゼロから個別設計しない分、人の手が介在する範囲を絞ってる。だから低予算で成立してる。安く見せるために品質を落としてるわけじゃない。
ここは正直に言っておきたい。5万円版はあくまで静止画ベースの最低限の構成だ。ここで過剰な期待をさせると、次年度の提案がしづらくなる。「今年はまず体験してもらう回」だとクライアントにも伝えた上で出す方がいい。
提案時のセリフ例
初回提案でクライアントに出すトークはこんな感じで組める。
> 「10周年ということで、まずは映像を入れてみるところから始めませんか。今回は5万円のテンプレートプランで、会場暗転後にロゴと沿革、社員の皆さんの写真を使ったオープニングを流します。制作期間は発注から2週間ほど見ていただければ十分です。フルスペックの映像制作だと相応の予算と制作期間が必要になりますが、まずは映像が入ることで会場の空気がどう変わるか、体験していただくのが目的です」
金額の話を「安さ」で押すんじゃなく、「体験してもらうための入口」だと明確に伝える。ここが伝わってるかどうかで、次年度の会話の質が変わる。
次年度10万円への伸ばし方(3つの設計ポイント)
初回5万円で終わらせず、翌年の予算を伸ばすには、提案の”仕込み”を初回の段階でやっておく必要がある。ここでは3つに分けて書く。
① 初回提案時に「その先」を見せておく
5万円のテンプレートは静止画ベースの最小構成だと伝えた上で、「作り込みたい場合は通常のオープニング映像制作でカスタムできます」と一言添えておく。この一言があるかないかで、翌年の提案のハードルが全く変わる。
クライアント担当者の頭の中に「来年はもっと動きのある映像にできる」という選択肢が残る。何も言わずに5万円だけ提示すると、翌年も「去年と同じでいいですよね」で終わってしまう。
② イベント当日の反応を「言葉にして」拾う
会場が暗転してオープニングが流れた瞬間、参加者の姿勢が変わる。スマホを見ていた人が顔を上げる。私語が止まる。この変化は、その場にいた人にしか実感として残らない。
だからこそ、イベント終了後の報告や振り返りの場で、この変化を言葉にして担当者に伝えることが大事だと僕は思ってる。「今年、映像が流れた瞬間に会場の空気が変わりましたね」の一言があるかないかで、担当者の記憶の残り方が変わる。担当者自身も体感してるはずなんだけど、言語化されないと社内稟議の場でうまく説明できないことが多い。
③ 「来年はここまでできます」を具体的な金額とセットで出す
年明けや次年度の企画が動き出すタイミングで、「去年は静止画ベースでしたが、来年は社員インタビューの動画素材を使ったオープニングにできます。予算感としては10万円前後からご相談可能です」と、具体的な次のステップを提示する。
ここで大事なのは、金額を曖昧にしないこと。「もう少し予算があれば」ではなく、具体的な数字を出す。担当者が社内で予算を通すとき、数字がないと稟議が進まない。
このステップを踏むことで、「去年は映像を入れたら反響が良かった。今年はもっと予算を組んで盛大にやろう」という判断につながっていく。イベント会社にとっては、クライアントの映像予算そのものを育てる一手になる。目先の単価じゃなく、来年・再来年の案件規模の話として捉えた方がいい。
【イベント会社さまへ】
「この演出、映像でやりたいけど社内に手がない」——そんなときは、制作パートナーとして裏方で入ります。
御社の名前で納品できる形(下請け・OEM)にも対応しています。
提案が通った後に整えておきたいこと
映像の提案が通った後、意外と見落とされがちなのが、次年度に向けた情報の引き継ぎ方だ。
周年イベントの映像は、今年の担当者と来年の担当者が同じとは限らない。だからこそ、今年の提案内容・見せた素材・当日の反応をどう記録し、誰でも参照できる形にしておくかが、次年度提案の起点になる。撮影当日に必要な香盤や登壇者情報、会場情報といった段取り情報を毎年イチから集め直すのではなく、前年の情報を土台にできれば、進行はぐっとスムーズになる。
初回提案が通った時点で、「来年度提案時に使う資料一式(当日の写真、担当者の感想、金額の内訳)」を整理しておくこと。これが次年度の予算増額の土台になる。提案書の中身がどれだけ良くても、去年何をやったかが曖昧なままだと、「今年はまあ良かったけど、来年はどうしようか」で終わってしまう。周年イベントのような継続案件では特にそうだ。
SNS展開という周辺提案も視野に入れる
周年イベントの現場では、当日のオープニングだけでなく、イベント後にダイジェスト動画をSNS用に切り出して展開する提案も増えてきた。エンディング映像や当日の様子を撮った素材を編集で組み立て直せば、社内報用・採用広報用・SNS告知用と、別の場面でも使い回せる。
これは初回提案の時点で「今年はオープニングだけですが、当日の撮影素材はSNS用のダイジェストにも展開できます」と一言添えておくだけでいい。次年度の予算増額とは別に、同じ予算内でできる周辺提案として、担当者との会話のきっかけになる。

提案時に使えるチェックリスト
最後に、周年イベントの映像提案で実際に使えるチェックリストをまとめておく。
– [ ] 初回提案は「体験してもらうこと」が目的だと明確に伝えたか – [ ] 5万円版が静止画ベースの最小構成であることを正直に説明したか – [ ] 「作り込みたい場合はカスタムできる」という次のステップを一言添えたか – [ ] イベント当日の会場の空気の変化を、担当者に言葉にして伝えたか – [ ] 次年度提案のタイミングで、具体的な金額(10万円前後など)を提示したか – [ ] 次年度提案用の資料(当日の写真、担当者の感想、金額の内訳)を整理してあるか – [ ] SNS展開などの周辺提案も視野に入れているか
まとめ:初回の金額より、来年の予算をどう育てるか
周年イベントの映像提案は、初回の受注額だけを見てると本質を見誤る。5万円のテンプレートプランでも、映像を体験してもらうという目的をきちんと果たせれば、翌年の予算は自然と育っていく。
大事なのは、削るところは削り、伝えるべきことは正直に伝え、次のステップを具体的な数字で見せること。そして提案が通った後の情報の引き継ぎまで含めて、初めて「継続してお願いしたい会社」になれるんだと僕は思ってる。
映像は一度体験してもらえれば、次は自然と広がっていく。会場が暗転してオープニングが流れた瞬間の空気の変化、あれは一度味わってもらうしかない。その最初の一回を、金額のハードルで諦めさせないこと。それが結果的に、来年・再来年の案件規模を大きくしていく。
【株式会社EasyEaseについて】
イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信・OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。
🌐 公式サイト:https://easyease.net/ 📩 パートナーのご相談:https://easyease.net/contact/