「案件はあるのに、プロデューサーが手一杯で断っている」——映像制作会社や広告代理店の制作部門から、よく伺う悩みです。人を採用すれば解決しそうに見えますが、採用には時間がかかり、育つまでの期間は既存メンバーの負荷がむしろ増えます。この記事では、採用せずに制作体制を広げるための社外パートナーの使い方を、3つの委託パターンに分けて整理します。
足りないのは案件ではなく「制作体制」
制作会社の売上が止まる原因は、営業不足だけではありません。次のような状態に心当たりはないでしょうか。
- 案件の相談は来ているのに、体制が組めず断っている
- プロデューサーが進行管理と外注管理で埋まり、企画に時間を使えない
- 大型案件や複数拠点の撮影を、受ける自信がない
- クライアント対応まで手が回らず、返信が遅れがちになっている
この状態で営業を強化しても、受けられる件数の上限は変わりません。10件の相談が来て3件を断っているなら、先に埋めるべきは営業ではなく、その3件を回せる制作体制です。
採用・フリーランス・制作パートナー、それぞれの向き不向き
制作体制を広げる手段は、大きく3つあります。それぞれ得意な場面が違います。
正社員の採用
長期的に安定した体制を作るには最善ですが、募集から戦力化まで半年〜1年はかかります。その間の案件は受けられませんし、繁閑の波が大きい会社では固定費のリスクにもなります。
フリーランスへの発注
編集や撮影といった工程単位の切り出しには向いています。一方、企画・進行・クライアント対応といったプロデューサー業務は切り出しにくく、結局ディレクションの負荷が社内に残ります。複数のフリーランスを束ねる管理コストも発生します。
制作パートナー(制作会社への委託)
工程単位だけでなく、案件単位でまるごと任せられるのが違いです。企画から納品までを一括で引き受ける相手がいれば、プロデューサーは「その案件を管理する」のではなく「引き渡す」だけで済みます。相手が制作会社であれば、品質管理やスケジュール管理も向こうの責任範囲になります。
どれか1つに決める必要はなく、採用で中核を育てながら、波の部分をパートナーで吸収するのが現実的な組み合わせです。
外部パートナーへの委託パターンは3つ
私たちが制作会社・代理店から受けている依頼は、次の3パターンにほぼ分けられます。負荷の軽い順に並べます。
パターン1:編集だけを任せる
撮影済みの素材を渡し、編集・テロップ・MA・書き出しまでを任せる形です。社内の編集者が詰まっているときのスポット対応に向いています。ブランドのトンマナや過去の納品物を共有すれば、品質のばらつきは抑えられます。最初の一案件として試しやすいパターンです。
パターン2:撮影から編集までを任せる
企画とクライアント対応は社内で行い、撮影当日の体制と編集を任せる形です。地方ロケや複数日撮影など、社内の人を張り付けると他の案件が止まるケースで効きます。ディレクターが当日立ち会わなくても済むように、事前の絵コンテ・香盤の共有が鍵になります。
パターン3:ディレクション・クライアント対応まで任せる
企画・進行・クライアントとのやり取り・撮影・編集・納品まで、案件を一括で任せる形です。パートナー側が貴社の名刺を持ち、貴社のチャットに入り、貴社の一員としてクライアントと直接やり取りします。プロデューサーの工数がほぼゼロになるので、断っていた案件をそのまま受けられるようになります。
パターン3まで任せるには信頼関係が必要なので、いきなりここから始める必要はありません。次の項目で、段階の踏み方を説明します。
いきなり全部は任せない。担当領域を段階的に広げる
委託先との関係は、小さく始めて広げるのがいちばん失敗が少ない進め方です。私たちが制作会社と組むときも、おおむね次の順で進んでいます。
- 編集だけ依頼:品質とレスポンスの相性を確かめる
- 撮影も依頼:現場での動き方、クライアントの前での振る舞いを見る
- ディレクションも依頼:企画意図の汲み取りと進行管理を任せてみる
- クライアント対応も依頼:貴社名義で、直接やり取りする案件を持つ
- 制作チームの一員へ:定常的に案件を流せる体制になる
1〜2の段階で合わなければ、そこで止めればいいだけです。逆に相性が良ければ、3以降で一気にプロデューサーの負荷が下がります。
委託先に任せるときに、先に握っておくこと
委託が失敗するのは、たいてい技術ではなく取り決めの曖昧さが原因です。最初に次の4点を決めておくと、トラブルはほぼ防げます。取引条件の基本的な考え方は、公正取引委員会が下請取引の指針として公開しています。
- 名義と窓口:クライアントに対して誰の名前で動くのか。貴社名義で動く場合は、名刺・メール署名・チャットの表示名まで揃える
- 秘密保持:案件開始前にNDAを結ぶ。クライアント情報・未公開素材の取り扱いルールを明文化する
- 判断の境界:どこまでパートナーが判断してよく、どこから貴社に確認するのか。予算の変更・納期の変更・クライアントからの追加要望が典型
- 報告の頻度と形式:週1のチャット報告なのか、案件ごとの進行表なのか。形式を決めるだけで「今どうなってる?」の確認が消える
外注先を選ぶ際の判断基準は、映像制作会社を選ぶ基準5つでも詳しく書いています。また、自社名義で映像パッケージを販売する考え方はOEM活用の記事を参考にしてください。
まとめ:断っていた案件は、体制さえあれば売上になる
制作会社の売上を止めているのが「制作体制不足」なら、解決策は採用だけではありません。編集だけ・撮影まで・ディレクションとクライアント対応まで、という3つの委託パターンを使い分け、段階的に任せる範囲を広げていけば、断っていた案件をそのまま受注に変えられます。
私たちEasyEaseは、CUROCOという名前で、広告代理店・映像制作会社の制作チームの一員として企画・進行・撮影・編集・納品まで並走しています。編集だけのスポット依頼から始められますので、まずは一案件からご相談ください。対応範囲は映像制作とサービス一覧にまとめています。実際の事例はこちら:EasyEaseの制作実績もあわせてご覧ください。
【映像制作会社・広告代理店さまへ】
貴社の制作チームの一員として、企画・進行・撮影・編集・納品まで対応します。編集だけのスポット依頼からで構いません。NDAは案件開始前に締結します。