イベント会社の営業として、周年イベントや表彰式のOPムービーをクライアントに提案する場面を想像してください。見積もりを出した瞬間、こう聞かれることがあります。
「テンプレートを使ってるから、この値段なんですよね?」
「テンプレートだから安い」と受け取られてしまうと、言葉に詰まってしまう営業担当は少なくありません。返し方を間違えると、案件そのものが小さく見えてしまう。今日はこの質問への返し方を、実例ベースで考えてみます。
なぜ「テンプレートだから安い」と聞かれると詰まるのか

「テンプレートを使ってるから、この値段なんですよね?」
このセリフ、悪気があって言われることは少ないんです。むしろクライアントは単純に「なぜこの金額なのか」を知りたいだけ。でも「テンプレなので…はい、そうです…」と歯切れ悪く答えてしまうと、クライアントの頭の中では「テンプレ=手抜き=もっと値切れる」という式が勝手に完成してしまいます。
僕は動画生成AI研究所の所長として、いろんな制作会社さんの営業現場を見てきましたが、ここで詰まる理由はシンプルです。「テンプレートである理由」を自分の言葉で説明できていないから。テンプレートを使うから安いのではなく、テンプレート化することで「毎回ゼロから設計する部分を減らしている」から、その分を価格に反映できている。この順番を営業担当自身が腹落ちしていないと、聞かれた瞬間に防御姿勢に入ってしまうんです。
クライアントが本当に知りたいのは、値段の内訳そのものより「この値段で、自分たちの本番に何が起きるか」です。そこを見誤ると、どれだけ丁寧に説明しても響きません。
返し方①:「安さの理由」を先に自分から説明してしまう
これが一番効きます。聞かれる前に言ってしまう。
具体的なセリフ例はこんな感じです。
> 「この金額、テンプレート化しているので実現できてるんです。毎回イチから絵コンテを起こして個別設計すると、企画・演出設計だけで工数が数倍かかります。今回は型が決まっているものに、御社のロゴや写真、社名を当てはめる形なので、そのぶん価格を抑えられています」
編集ソフト側にもテンプレート機能は標準で用意されていて(Adobe公式サイト)、制作フローとして一般的な手法です。ポイントは「品質を落として安くしている」ではなく「設計の手間を絞っているから安くできている」と言い切ることです。この差は大きい。クライアントの頭の中で「安い=粗い」という連想が起きる前に、こちらから理由を提示してしまう。
先に言うか、聞かれてから言うか。たったこれだけの順番の違いで、クライアントの受け取り方はまったく変わります。「聞かれる前に自分から弱点に見えそうな部分を説明する」というのは、営業トーク全般に効く原則だと僕は思っています。
返し方②:「静止画ベースの最小構成」だと正直に伝える
ここ、正直に言えるかどうかが信頼を左右します。
テンプレート型のOPムービーは、写真や社名を当てはめる静止画ベースの構成が基本です。動きのある映像素材をふんだんに使った作り込みではありません。ここを誤魔化さずに伝えるのが大事です。
セリフ例です。
> 「正直にお伝えすると、このグレードは静止画ベースの最低限の構成になります。会場の暗転からOPが流れて、参加者の視線が集まる、という体験としては十分機能しますが、映像そのものの作り込みという意味では入口のグレードです。もし当日の熱量をもっと上げたいということであれば、動画素材を使ったフルカスタムの制作にステップアップすることもできます」
このセリフの効果は二つあります。一つは、期待値を過剰に上げないことで「思ってたのと違う」という失注リスクを防げること。もう一つは、上位グレードの存在を自然に提示できることです。最初から「これしかありません」と言うより、「入口はここ、伸ばせる先はここ」と見せたほうが、クライアントは安心して検討できます。
返し方③:「体験してもらうこと」が目的だと伝える
これが一番大事な返し方だと思っています。価格の話を、体験の話に変換する。
セリフ例です。
> 「実はこの価格帯を用意している一番の理由は、映像を使ったことがない企業さんに、最初の一回を体験してもらうためなんです。会場が暗転してOPが流れた瞬間、空気が変わります。参加者の姿勢が変わります。この体験を一度してもらうと、次は『エンディングも映像にしたい』『表彰式でも使いたい』と、自然に映像を使う場面が広がっていくんです」
ここまで話すと、クライアントの頭の中で「安い理由」の質問が「来年はどうしようか」という質問に変わります。
映像を使ったことがない企業ほど「うちには必要ない」と思っています。使ったことがないから価値がわからないだけなんです。だからこそ最初のハードルを下げて、体験してもらう。そして「去年は映像を入れたら反響が良かった、今年はもっと予算を組んでやろう」という判断に繋げる。これは目先の一本の単価の話ではなく、来年・再来年の案件規模を育てる話です。
イベント会社にとっては、この「体験のきっかけ」自体が、クライアントに渡せる商品になります。安さそのものを売るのではなく、体験の入口を売る。ここが返し方の核心だと僕は思っています。
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返し方を使う場面:提案書・商談・当日フォローの3タイミング

ここまでの3つの返し方は、それぞれ使う場面が違います。
提案書の段階では、返し方②の「静止画ベースの最小構成である」ことを、見積もり項目のすぐ下に一文添えておくのがおすすめです。口頭で説明する前に文字で見せておくと、商談本番で驚かれることがなくなります。
商談本番では、返し方①をクライアントから聞かれる前に自分から切り出すのが効果的です。金額を提示した直後、間を置かずに「この金額はテンプレート化しているので実現できています」と続ける。沈黙が生まれる前に理由を渡してしまう。
当日〜イベント後のフォローでは、返し方③が生きてきます。本番でOPが流れた瞬間の会場の空気を、後日のお礼メールや次回提案のタイミングで思い出してもらう。「あの瞬間、良かったですよね。来年はもう少し予算を広げて、エンディングも映像化してみませんか」という一言に繋げられます。
チェックリストにするとこんな感じです。
– [ ] 見積もりに「テンプレート化による価格」の一文を入れているか – [ ] 静止画ベースである旨を、期待値のズレが起きる前に伝えているか – [ ] 上位グレードへのステップアップ先を提示できているか – [ ] 本番後のフォローで「体験してどうだったか」を聞けているか – [ ] 来年の予算感の話を、当日の余韻があるうちに切り出せているか
ちなみに映像制作の費用は、撮影の有無や演出の作り込み方で大きく変わります。テンプレートを活用した最小構成から企画込みのものまで含めると、おおよそ10万〜50万円程度、規模により要相談というレンジで考えてもらえればいいと思います。正確な金額は要件次第なので、まずは打ち合わせで無料お見積もりから始めるのが早いです。
まとめ:安さの説明ではなく、体験の設計として伝える
「テンプレだから安いんですよね?」という質問は、実はクライアントからの小さなサインです。「なぜこの値段なのか」を知りたいだけで、値切りたいわけではないことのほうが多いんです。
今日紹介した3つの返し方、①理由を先に自分から説明する、②静止画ベースの最小構成だと正直に伝える、③体験してもらうことが目的だと伝える、はどれも「安さを弁解する」トークではなく「体験の入口をどう設計しているか」を伝えるトークです。
僕は所長として色んな映像案件の営業現場を見てきましたが、価格の話で詰まる営業担当の多くは、安さの理由を自分の言葉で持てていないだけです。逆に言えば、ここさえ整理できれば、テンプレートという言葉はマイナスではなく「入口を作れる武器」に変わります。
次にクライアントから同じ質問が飛んできたら、ぜひこの3つの返し方を思い出してみてください。
テンプレートを使ったOPムービーが実際にどんな仕上がりになるかは、制作実績のページにまとめています。提案の参考に実際の事例はこちらから見てもらえたら嬉しいです。
【株式会社EasyEaseについて】
イベント会社の映像パートナー。企業イベントの撮影・編集・ライブ配信・OPムービー制作を、 御社案件の一部として裏方で担当します。テンプレートを活用して工数を抑えることで、OP映像をもっと多くの現場で使ってもらえる価格にしています。 広告代理店・制作会社向け自社サービス「CUROCO」も運営中。
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